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2025.07.10
夏の訪れを教えてくれる朝顔が日本に伝来したのは奈良時代です。当時は「牽牛子(けんごし)」と呼び、種を薬として珍重していました。江戸時代後期には花の色や形を改良した品種が次々と生み出せられるようになり、一躍「愛(め)でる花」として大人気になりました。さらに牽牛子の名前が彦星の漢名である「牽牛(けんぎゅう)」に通じ、開花時期も七夕と重なることから、花が咲いた朝顔は、彦星と織姫が会えたしるしとして縁起物になりました。
夏祭りや花火大会での浴衣姿は粋なものです。カラン、コロンと響く下駄の音と色とりどりの浴衣に気分も盛り上がります。着物には季節に合わせたしきたりが存在しますが、遊び着にあたる浴衣にはいかめしい決まり事はありません。夏場の着用が一般的であり、年に数度しか楽しめない装いだからこそ、きちんと手入れして長持ちさせましょう。浴衣は洗濯表示がついていれば自宅でも洗えますが、色落ちに注意が必要です。下駄は固く絞った雑巾で汚れを拭き取り、陰干しにします。
夏の盛りになると、風鈴が登場してきます。なんともやわらかく、透き通った音色を聞くと、暑さも引いていくから不思議です。それは誰しも同じようで、風鈴に耳を傾けながら夕涼みを楽しむお祭りは、多くの人で賑わいます。風鈴のルーツは、仏堂や塔の軒下に吊り下げる鐘型の鈴である「風鐸(ふうたく)」といわれています。風鐸は魔を祓う道具で、その音が届く範囲は清浄であるとされました。室町時代以降には、我が身に訪れる災いをはねのけるため、貴族たちが、自宅に吊るすようになったようです。江戸時代には「風鈴売り」が出現し、庶民にも夏の風物詩として親しまれるようになりました。
パティオでは四季飾りとして季節に合わせエントランスロビーを飾っています。今年も6月中旬から七夕までの間に中庭から切り出した竹を飾り、来館者の皆さんが思い思いに短冊に願い事を書いて吊るしていました。願い事の書かれた短冊は知立神社でお炊き上げしていただきます。